2011
05/16

笑顔

釣行記 / comment : 12 / trackback : 0

次男坊にとって、小学生最後の徒競走がスタートした。

見た目は相変わらずぎこちない走りであったが、最後まで必死に走り、三位入賞。

「パパやったぁ、三位だよ」

自然に湧き出る、本当に嬉しそうな笑顔で息を切らしながら、何度も「やったやった」と。

「よしよし、この調子ならリレーも大丈夫だな」

続けて二人三脚で行われた親子リレーに出場。
これは僕が「スピードの向こう側の世界」に危うく辿り着きそうになったが、これもトップでバトンを次走者へ手渡す事が出来た。

次男坊は、この世に生まれ出た時に患った心臓病の影響が未だに残っており、来年はこの仲間達と同じ中学に行けるのかどうかも決まっていない。
ただ、彼は恥ずかしがることも無く、常に前向きだ。誇りにさえ思える。
小学校最後に、良い思い出が出来たな。

このまま前を、上を向いてのんびり笑顔で行こうぜ。焦ることは無い。

その日は久しぶりに風呂へ一緒に入り
「おい、毛はまだ生えんか？生えたら写真撮って先生に報告する規則になってんだぞ。」
「えぇぇ・・・本当に？少しだけ生えてきたかも・・・来週言うかな」
「馬鹿者、言わんでいい。うそだ（笑）」
わいわいと長風呂してしまい、10時を過ぎてしまった。
明日の朝も早いので、慌てて胃袋へビールを詰め込み布団へ潜り込んだ。

翌日の早朝。
「つりショップ海風」にて大会参加の受付をし、賞品を提供する。
今日は愉快な仲間である、秋田暴走連・・・いや、秋田坊主連合会の名人戦なのである。

「へば、俺ちょっと行ってくるがら」
「きしさん、帰って来る頃は魚いねぐなってらっすやぁ～（笑）」
「はいはい、いっぺ釣って待ってでけれ（笑）」

大会は5時からであったが、僕はまた別のイベントへ参加するべく、笑顔と笑いの絶えない店を後にした。
いつもの加茂路を、いつもとは少し違った気持ちで走る。

危うくいつもの大竹丸渡船場へ曲がりそうになったが、ウインカーを右へ出し、政運丸の乗り場へ車を滑り込ませた。
4月24日の「追悼の会」で知り合ったシゲさん、そして船長に出迎えられ、僕も輪に加わった。
今日のもうひとつのイベントというのは・・・

24日の事を知らず「是非とも参加させて頂きたかった」と話していた、発起者の大友君。

かなり勇気が必要な行動だったろう。
船長の挨拶から始まり、僕より10歳も若い彼の話し振りに感心していると「是非」と、僕の挨拶の番に。
いつも通り、まとまらない挨拶ではあったが・・・既に気持はこうして伝わっているから、今、こうして僕がこの場所へ居るんだよな。

この日も、24日と同じように「これから戻って仕事」って人も多数参加されていた。
気持ちは確実に伝わっているね、大友君。

久しぶりに釣りをする方も多かったのか、皆さん笑顔で船へ乗り込み・・・磯へ向かった。

本当に良い笑顔で。
僕は漁港にて顕花をし、再び海へ祈りを捧げる。

・・・よしと、仲間のところへ戻るか。

海風へ戻ると既に8時を回っていた。聞くと魚も複数枚出ているらしい。
「よ～し、こいがらまぐりに行くが、きしさん！」
友和君の操艦で漁港を出た。
あちこちの様子を見て周り、仲間へ声を掛けていく。

さてと・・・やっぱ、あそこさ行ぐが。

海へ斜めに突き刺さったように突き出す鉄管。

やはり一年に一度はここに乗らなきゃなぁ・・・ん？去年より更に斜めになったか？
ま、いいか。落ちたら泳ごう。
兄がその辺から集めてきた廃材の杉板を足場へ並べて「よいしょっと♪」

う～ん・・・何とも言えない気分。癖になるね。

去年の教訓を生かすため、まだ釣れてないけどスカリを降ろし、小物も整理して準備をした。

開始数投こそ、ボラがウロウロしたりして雰囲気があったものの、全くオキアミが触られない。
やはり、もう少しだけスイッチが入りきっていないのだろう。
棚をあれこれ変え、ハワセたり1ヒロにしたりしていると、ようやくアタリがあり・・・アワセと同時に結構な突込みと横走りをみせる。
「おっとっと、これは良型か・・・」
と思ったのだが、そんなでも無かった。
やはり硬いグレ竿だと、チヌも結構暴れてしまうのかね。あぁ・・・７ｃｍのメバルめ。

その後は風も止み、初夏を思わせるような日差しが頭を照らす。
しかし流れも止まり、延々とオキアミがヒゲまで付いて戻ってくる。
「あぁぁ・・・眠い・・・ガタガタッ！！おっとっと！！あぶねぇ。」
少しでも気を抜くと、かなり早い海水浴だ。

結局、３時まででアタリは２回。その１回がチヌという何とも効率的な？結果で終了。

やはり午前中が勝負だったらしく、何処も午後からは厳しい状況だったみたい。

優勝は、２尾トータル87ｃｍ？で佐藤君だったかな。

釣果があったのは、全体の半分程度。

でもね、釣果が無くても・・・

この笑顔だもんな。

久しぶりに笑顔に癒された週末。

さて・・・と。

各メーカーが揃ってイベント、大会を自粛。
もう書いてしまうけど、それは恐らく半分以上間違っているだろう。
もちろん危険な場所や、被災地へ影響が少しでも出そうな場所での開催は別として。

磯釣りというのは、魚だけではなく、人との繋がり「絆」ともいえる要素を多く含んでいる事からこそこんなにも楽しく、そして毎回素晴らしい笑顔が皆に生まれる。
その「絆」が広がれば広がるほど楽しくなり、そして様々な事を学ぶ。
僕も、釣りを通して、悲しみ、楽しみ、喜びを分ち合える友が全国各地に居るから、今の自分がある。
お金や労力はもちろんの事だが、被災された地で暮らす友へ必要な事とは何か。
自粛ではない。

希望を与える笑顔だよね。