2008
05/08

ホームでの至福

釣行記 / comment : 14 / trackback : 0

鵜ノ崎の帰りに海風へ立ち寄り、翌日のエサ類をたっぷり購入してから急いで帰路に着く。
前から決めていたのだが、明日（４日）は久しぶりの加茂へ行くのだ。

ブログのプロフィールには「ホームグラウンド 加茂沖磯」と書かせてもらっている。
決して加茂で沢山釣った訳ではないけど、この場所で本格的に釣りを学んだと思っている。
前にも書いたけど、昔は本当に釣れなかった。
独身の頃は、土曜に駄目でも日曜日・・・また次の土曜日と、多いときは１ヶ月に8回も通った事があった。
毎回釣れないのを悲惨に思ったのか、大竹丸若船頭に3度も磯替えしてもらった事もあった。
迎えの時間を忘れられたり（笑）海へ転げ落ちたり・・・
でも釣れなくても、本当に毎回が楽しく充実していた。

遠方から秋田へ来てくれた大切な友人と過ごしたのも加茂沖磯。
四季を通して、様々な思い出が詰まりに詰まった場所なのである。
ここ1、2年は以前に比べて加茂へ向かう回数が随分と減ったけど、景色、雰囲気、そこへ住む人々も含めて、僕にとっては１番落ち着ける場所。

４日はせっかく１日フリーだから１番船で夕方の４時までやろう・・・。
眠い目をこすりながら午前2時半に家を出た。

流石に連休の中日。3時半時点で車は20台以上あり、既に船には多数の釣り人が待機していた。
こりゃ急がんと・・・ありゃ？

時間を待たず、轟く様なエンジン音を響かせ大竹丸はゆっくり出船し、続いて金竜丸、政運丸とへ出走・・・１番船独特の雰囲気である。
まぁ、いいか。ゆっくり仕度しよう。

「おぉ！おはよ。ずいぶんと久しぶりだごど。いぎでだが？（笑）」
暗闇に白い歯だけがキラ〜ン♪と、大竹丸のお爺さん。
「おはようさんです。バリバリ元気だよ（笑）」
船が戻るまで久しぶりの談笑を楽しむ。

門前まで行っていたのか、20分後にようやく船が戻ってきた。
「おはようございます」
「おぉ〜っ。んで・・・どごさいぐ？」
「う〜ん、あっっせどご」
「あせどごが・・・なんとだべなぁ。まぁ、行ってみるが。あんべわりばあどでむがえにいぐ」
この少々ローテンション気味の会話・・・なんか久しぶりでいいな。

漁港を出て南へ船は走り・・・激浅ポイント地帯の小磯へ渡礁。
明るくなるまで磯へ座り、同行の“バイト君”としばし談笑。
久しぶりの超早起きと2番船・・・心身ともに気持ちも良くて、何だか既に満足・・・あぁ眠い。
まったりモードで準備に取り掛かった。

今日からメインの配合はこれ。

去年の夏から多用している。
状況によっては裏目に出る事（荒れた時など）があるかもしれないが、ともかく以前の釣り方より釣果が伸びているのは事実。
何より、変化が分かり易い＝楽しめる。
こんな腕だから、底釣りではなかなか雰囲気が掴めないしね。まぐれ釣りが多い。
今時期の狙いは黒鯛なので、これに押し麦を少々配合して使う。
でも大粒の麦だと沈みも早いので小粒をチョイス。

さて、久しぶりの加茂の海はどんな感じかな・・・

Ｇ２のウキにＧ５を２段打ちした仕掛けで様子を見る・・・上り潮か。
一投目からジワジワとエサを触る動きがウキに現れる。
軽くアワセを入れると15ｃｍ程度のメバル。
その後も程よい感じにエサトリが反応してくれる。
潮もエサトリも天気も風も、全てが丁度良い感じ・・・いいなぁ、これ。

今シーズンは既に3度も鵜ノ崎を経験しているから、余計に丁度良く思ってしまうのかもしれない。
潮がちょっと落ち着かなかったが、開始2時間経つと、はっきりと陸から沖へ流れ出した。
偶に戻ってくるオキアミは嬉しいくらいに暖かい。

さてと、いつ来てもおかしくはないと思うんだが・・・
ドキドキしながらアタリを待つ。至福の時である。
で、今日は裏切らずきっちりと海は答えてくれた。

モゾモゾとウキに変化が現れ、僅かに張りを与えると・・・ウキが加速・・・アワセ！！

ふぅ、これこれ、この引き・・・実に久しぶりだ。
前日の鵜ノ崎とは違い・・・でも、そんなに大きくはないけど、重厚でガツガツと上品に穂先が叩かれる。
40ｃｍを少し切るサイズかな。嬉しいなぁ。

久しぶりだったので、少し暴れさせ過ぎたかな？
再開後はエサトリが活性を上げ始めた。
でも、また１時間ほどすると・・・雰囲気プンプン。
またもや訪れた至福の時。ワクワクしながら次のアタリを待つ。

今度は流していたウキが効果音でも付けたくなる様に「ズバッ！！」と入った。
「おっとっと・・・」
1尾目より少しだけ強烈にガンガンと突っ込みを見せる。

かなり草臥れてきた愛竿「チヌ競技スペシャル」がグィングィン気持ち良さそうに曲がる。
塗装もボロボロで芯も完全に抜けてるだろうけど、やはりこの竿は楽しい。
加茂へ通い始めたと同時に購入したこの竿。お金が無いからこれ1本で随分と頑張ったもんだ。
今ではもうヘトヘトで、０号並にグニョングニョン曲る。

時間を掛けてゆっくりと浮かす。
お？大きいかな？・・・いや、そうでもないか。
1尾目と同じ様なサイズ。でも腹がパンパンで体高もある立派な黒鯛だ。上等上等。

同行のバイト君へ場所代わりを勧めるも、彼もなかなかの頑固者。
「あっ、大丈夫っす！ここでやるっす！」
変わろうとしない。まぁ、次に釣れたら強制的に変わってやろう。

まだ雰囲気はあったものの、どうにも膝と腰が痛む。
昨日は時間が短いとはいえ２連荘だもんな。
若い頃サッカーで左膝の靱帯を断裂しており、近年は特に冬や春先にかけて痛むようになっていた。
もう昔みたいに難所の地磯を駆け下りる事は無理なのかもしれない。

座り込みながらパンを食べる。まだまだ時間はたっぷりある。ゆっくり楽しもう。
あぁ・・・良い景色だ・・・ねみぃ。ビールでも飲みながら読書でもしたい気分だ。
気持ち良いだろうなぁ・・・。

完成度の高い鶯の鳴き声が何度も海にこだまする。
やはり加茂の景色と雰囲気は男鹿で1番素晴らしい。

のんびりしていると、大竹丸がやって来た。

大「なんとだぁ？」
き「２枚だっす！」
大「あぁ？なにぃ？２枚ばらしたど？（笑）」
き「な、失礼な、２枚とったってば（笑）」
大「（笑）なんとす？ここでやってもいいし、変わってもいいぞ」

ちょうどこの頃から南東風が強まり、僕の釣り座はやり辛くなっていた。
でも我慢すればまだまだ釣れるだろうけど・・・バイト君、どうする？

ちょっと悩んだけど、久しぶりの加茂。
我慢すればきっと釣れるこの場所と、他の場所へも行ってみたい気持ちとが交錯する。
結局、大竹丸のクルージングも兼ねて北へ様子見に行く事にした。
あの船に乗っているだけでも気持ちが安らぐからね。

船は気持ちの良いエンジン音を轟かせながら北へ北へと向かう。

戸賀エリアのちょい手前。金ヶ崎の無名小磯へ降りた。
大きなワンドの最奥に位置する島だが、ここ数日でバラシ多数だったとの事。

大「しっかり釣ってこいやぁ、バラスなやぁ（笑）」
き「大丈夫だすって（笑）」
大竹丸が去っていった。

さて、今度は潮も動いてなさそうだし、少し深そうだな。

仕掛けにＧ６を追加して、3ヒロでハリスが馴染んだところからゆっくりと沈めて探ってみる。
4ヒロ〜4ヒロ半のあたりの反応が１番良い感じだ。
棚を調整して釣り再開。

ふぅ、それにしても暑い。今度はワンド奥なので南東風も遮られ無風状態。
足場も狭い上に更に悪くなり、朝より膝が痛む。
アイナメ、メバル、タナゴ・・・と良い感じで釣れるが・・・ちょっと疲れたぞ。
座りながら竿を出す時間が多くなり、昼過ぎには完全に集中が切れていた。
まぁ、こんな時に限って来るんだよね。

ボーッとしながら遠くを往来する遊覧船を眺めていた。
・・・ん？あれ？
気が付くとラインが張られウキが見えない？・・・しまった。
とりあえず竿を立てると「ググゥゥッ！」と底を走ろうとする。
そんなに巨大ではなかったので落ち着いて浮かせにかかったものの・・・嫌な予感。
アワセ入れてないんだよなぁ・・・という事は。

案の定というのか、海面へ「ギラッ」と見えた直後、穂先が跳ね上がる。
あ〜あ・・・。
針先がコケていた。
恐らくエサを咥えた状態で竿を立てただけだから、上顎の硬い部分に先だけ刺さって居たのだろう。

その後は沖から潮が差してくると無反応の海に。

暑さと眠さと膝の痛みで早めにギブアップ。
いきなり12時間の釣りは、40歳の男にとってはちょっと厳しかったようだ。
ゆっくりリハビリしないとな。

大竹丸へ乗り込む。

大「なんとだった？」
き「え？う〜ん・・・1枚バラシてお終い」
大「バラシた？あはははは。んだがら言ったべ、しっかりやれって（笑）」
き「はは・・・はぁぁ、それより疲れだ」

漁港へ戻り若船頭、お爺さんと世間話。
なんだか全てにおいて、懐かしささえ感じられる1日。
そういえば去年も子供が出来たり何なりで、あまり来られなかったもんな。

加茂はいいなぁ・・・やはりここは心の中でもホームグラウンドだ。

さて、来週からは行きたい場所があり過ぎて困ったぞ。